老齢基礎年金と老齢厚生年金

昭和61年4月から、国民の誰もが共通してもらえる基礎年金制度が始まりました。国民年金と厚生年金保険が別々の制度となっていたのを一体化し、日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の人は原則、国籍を問わず国民年金の被保険者となります。
2層構造の年金制度
原則65歳から、国民年金から老齢基礎年金、厚生年金保険から老齢厚生年金が支給される2層構造となります。ただし、私たちに関係の深い老齢厚生年金は、老齢基礎年金の受給資格がなければもらえないことになっており、まずは老齢基礎年金の受給資格を満たすことが重要になってきます。
老齢基礎年金の受給資格
保険料納付済期間、保険料免除期間、合算対象期間を通算して25年以上あることが必要です。ただし、一定要件に該当する人は、生年月日により短縮されます。
(1)保険料納付済期間
- 第1号被保険者(旧国民年金の20歳以上60歳未満期間を含む)として、保険料を納付した期間。任意加入期間も通算します。
- 20歳以上60歳未満の第2号被保険者期間。旧厚生年金保険や共済組合の昭和36年4月1日から昭和61年3月31日までの20歳以上60歳未満期間も通算します。
- 第3号被保険者期間
(2)保険料免除期間
一定の障害要件に該当したり、保険料の納付が困難な状況が発生したりした場合などに認められる保険料の納付を要しない期間。また、一定の要件を満たした20歳以上の学生や30歳未満の若年者の保険料の猶予制度、保険料の一部を免除する一部納付(4分の1納付・半額納付・4分の3納付)制度が認められた期間もこの期間に属します。
(3)合算対象期間
年金額には反映されないものの、受給資格期間には算入される期間。
老齢基礎年金
● 受けられる額
40年加入した時に満額支給となり、免除期間等がある人は減額支給となります。ただし、昭和16年4月1日以前生まれの人は、加入可能年数分の保険料を全額納めれば満額支給されます。
● 老齢基礎年金の繰り上げ支給・繰り下げ支給
老齢基礎年金は、希望により支給開始を60〜64歳に繰り上げて減額年金を受けたり、65歳以降繰り下げて増額年金を受けることができます。ただし65歳前の繰り上げ支給の減額率は生涯変わりませんのでご注意ください。
←繰り上げ→ | 原則 | ←繰り下げ→ | |||||||||
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請求年齢 (誕生月時点) |
60歳 | 61歳 | 62歳 | 63歳 | 64歳 | 65歳 | 66歳 | 67歳 | 68歳 | 69歳 | 70歳 以降 |
昭和16年4月1日以前生まれの人の支給率 | 58% | 65% | 72% | 80% | 89% | 100% | 112% | 126% | 143% | 164% | 188% |
昭和16年4月2日以後生まれの人の支給率 | 70% 〜 75.5% |
76% 〜 81.5% |
82% 〜 87.5% |
88% 〜 93.5% |
94% 〜 99.5% |
100% | 108.4% 〜 116.1% |
116.8% 〜 124.5% |
125.2% 〜 132.9% |
133.6% 〜 141.3% |
142% |
● 被扶養配偶者が65歳になると加給年金が振替加算に
厚生年金保険の被保険者に扶養される配偶者には加給年金が加算されますが、被扶養配偶者が65歳になると老齢厚生年金の加給年金は打ち切られます。
ところが、昭和61年3月までは、厚生年金保険の被扶養配偶者の国民年金は任意加入であったため、加入期間が短かったり、まったくなかった方もおり、年金額が少なくなってしまいます。このため昭和41年4月1日以前に生まれた人の場合、それぞれの生年月日に応じて配偶者自身の老齢基礎年金に加算されます。これが“振替加算”です。
老齢厚生年金
老齢基礎年金の受給資格を満たした上で、厚生年金保険期間が1か月以上あり、65歳に達しているときに支給されます。
● 受けられる額
※65歳未満の配偶者や、18歳到達後、年度末までの子または障害(1級・2級)の状態にある20歳未満の子がいる場合は加給年金がプラスするためです。
● 経過的加算
厚生年金保険に加入していた期間分の老齢基礎年金が、「特別支給の老齢厚生年金」の定額部分より少ない場合、その差額が経過的加算として老齢厚生年金にプラスされます。65歳以降に老齢厚生年金と老齢基礎年金に切り替わっても、年金額が減らないようにされます。
● 老齢厚生年金の繰り下げ支給
昭和17年4月2日以降生まれの人および昭和17年4月1日以前生まれで平成19年4月1日以降に老齢厚生年金受給権を取得した人で、老齢厚生年金受給権取得日から1年以内に老齢厚生年金の請求をしておらず、障害厚生年金や遺族厚生年金の受給権者となっていない人は、希望により支給開始を65歳以降に繰り下げて増額年金を受けることができます。
※特別支給の老齢厚生年金および部分年金は繰り下げ支給の対象外です。